「矢口高雄・戸川幸夫/羆風」
・出版社 講談社・全3巻(変形版・野性伝説シリーズ③~⑤巻) 全3巻(文庫版)
・出版年 1997年(変形判) 2003年(文庫版)
・入手度 難~極難
・ジャンル 熊/動物 ドラマ
・おすすめ度 ★★★★ 人間対羆。
北海道苫前村の開拓地で、巨大な羆による身も凍る事件が起きた。原生林の開拓・農地化が進み餌に窮した羆は人里に出現、ついに村人たちに牙をむくようになる。
開拓という名のもと、人間の自然界への深入りが招いた惨劇。共存していた人間と野生動物の暗黙のルールは破られ、凶暴性むき出しに襲いかかる羆と、村の生活を必死に守る人間たちの壮絶な戦いが始まった!
開拓という名のもと、人間の自然界への深入りが招いた惨劇。共存していた人間と野生動物の暗黙のルールは破られ、凶暴性むき出しに襲いかかる羆と、村の生活を必死に守る人間たちの壮絶な戦いが始まった!
今から丁度100年前の起った実話(三毛別羆事件)をベースにした作品。動物文学の第一人者・戸川幸夫の原作を、矢口高雄がリアルな手法で鮮烈に描ききっております。
巨羆は身の丈2.7m、重さ340kg。袈裟懸けといわれる弓状の白斑を交えた大物羆、冬眠し損ねて非常に凶暴になっていた。
食糧不足から人里に下り農作物を喰い荒す・・・
ついに人を襲う・・・襲うシーンに緊張感があり羆の怖さが描かれます。
食べ残しを埋める羆。
羆を討伐、そして遺体を取り換えずべく討伐隊が組織されるが・・・
次々に人を襲う羆。肉の柔らかい女、子供を襲い続ける・・・
今の平和な時代からは想像がつかないお話ですが、丁度百年前の北海道三毛別(現・三渓)で起きた実在の事件で漫画で読むと非常に怖い作品で、身の毛もよだつ羆の怖さが描かれます。
また人間側からの視点だけでなく羆からの視点でも描かれているのがよく、何故こういう事件が起きたのか?がリアルに描かれております。
この作品とにかく入手が難しく、元々の変形判のビッグゴールドコミックスも文庫版も古本屋等で見かける事はほぼなく、オークションなどでは定価の何倍もの値段になっております。
お手頃な値段で見かけたら即入手をおススメしたい作品。読後に残る作品で、時間をおいてまた読みたいし、他の人に薦めたい作品です。