柳沢きみおのライフワーク作品・大市民シリーズの作品リスト。
流浪の作品で出版社が変わりながらも続いた作品でしたが、ついに完結しました。
「大市民」 全10巻(92年~97年)
第一弾であるこのシリーズが好きな人は多く、作品として読みやすいシリーズ。バブル末期~バブルが弾けた頃の世相が懐かしいと思うのは40代以上の読者。
このシリーズでは車について描かれる事が多く、ビンテージカーが好きな人にもおススメ。食にかんしても基本的にはこの時点から変わらず・・・
「大市民 番外編」 全1巻(94年)
山形のオジ片岡が主人公の番外編。車が好きな人にはおススメですが、純粋に大市民が好きな人は飛ばしても問題ナシで大市民の名前がついているけど純粋な車漫画。
「大市民Ⅱ」 全2巻(97年、01年)
出版社が変わっての第二シーズン。仕事場が変わり原宿での生活が描かれる原宿編。登場人物も一新されるが後に佐竹のみ登場。
前作の良さが消えてしまい連載は1巻で終了。2巻は全編描き下ろしで出版。全体的に荒い印象で作品としてはあまり面白くない。
「THE 大市民」 全5巻(03年~04年)
出版社が変わっての第三シーズン。仕事場は世田谷に変更。登場人物は一新されるが佐竹のみ途中から登場。
車ネタがなくなったのは著者が車を処分したからで、これ以降車ネタが出てこなくなります。社会への怒りはこれ以前にも描かれておりましたが、特定の個人への怒りが描かれるようになります。
個人的には好きなシーズンですが、かなり危うい(怒りや愚痴など)作品でギリギリの所で作品として成立していたシーズン。
「大市民日記」 全6巻(06年~10年)
出版社が変わっての第四シーズン。仕事場は世田谷のまま。登場人物は一新。グダマキシーズン・・・で、作品全体が陰鬱で特定の個人への口撃が繰り返されます。正直よく4年も続いたよなあと思うばかりのシーズン。
個人的にこのシーズンが読んでいて一番ツライ&つまらなかった。正直これをお金を出して読む価値があるのか?と思うばかりの出来で酔っぱらいが喚いているだけかも・・・
「大市民語録」 単行本なし(07年)
第五シーズン。上記の大市民日記と並行して描かれていた作品。雑誌休刊もあり5話で終了・・・作品は大市民日記に分散して収録。絵柄の荒い大市民・・・
「THE大絶叫市民」 単行本なし(10年~)
第六シーズン。漫画ではなく文字のみの大市民。この作品がまだ連載中なので実は大市民シリーズは完結しておらずなのですが、漫画としての大市民は次で終了。
単行本が出ないので未読のシーズン。
「大市民 最終章」 全1巻(15年)
最初のシリーズがでた双葉社に戻っての第七シリーズ。単行本描き下ろし。主人公・山形が一人で語る大市民。これまでのシリーズが人生観を語っておりましたが本作では死生観を語ります。
これ以前にあった社会への怒りや、特定の個人への口撃はなくなり、山形が淡々と語り食する姿が描かれます。モノトーンのような作品(としてはかなり微妙)で、異質な作品。
よっぽどのファンでない限り全部読んだというか読んで見たいと思えずな作品であまりにも作風が変化しすぎでついていけないです。最初のシーズンとそれ以降のシーズンでは別物(特に大市民日記)と思った方がよいです。
大市民シリーズのメインの読者は40代以上だと思うのですが、最初のシーズンは読んだけどそれ以降は微妙という人が多いのではないかと思います。
柳沢きみお作品の中でもっとも濃いのがこの作品なのですが、ファンのみ(ファンでもツライけど)のシリーズになってしまったのが非常に残念な作品。