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宮代忠童/麦飯男爵 高木兼寛

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「宮代忠童/麦飯男爵 高木兼寛」

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・出版社 講談社・全1巻(B6版)
・出版年 1997年
・入手度 普通
・ジャンル 人物伝
・おすすめ度 ★★★ シリーズ「戦争と人間」。

脚気の撲滅に尽力し、ビタミンの父とも呼ばれた、高木兼寛を描いた作品。

脚気 ビタミン欠乏症の一つであり、ビタミンB1の欠乏によって心不全と末梢神経障害をきたす疾患である。心不全によって下肢のむくみが、神経障害によって下肢のしびれが起きることから脚気の名で呼ばれる。

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脚気という病名と症状は知ってはおりましたが、当時難病で毎年一万人が亡くなる大病だった事は知らずでした。この脚気を撲滅するべく立ち上がったのが高木兼寛でした。

この頃はまだビタミンが発見されておらずで、海軍は栄養不足によるもの、陸軍は細菌によって発病する病気だと信じており、これが後の悲劇を生む要素となりました。

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実験と検証により兵食を白米中心の食事から麦飯(脚気を予防するビタミンB1を含む)に変更し、海軍は脚気を絶滅させるが・・・

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陸軍は医総監石黒忠悳、森鴎外は細菌説に固執。海軍で実績のあった麦飯を拒否。このあたりは陸軍と海軍が不仲だった事や、東大医学部派の面子、権力闘争などが絡んでいたようです。

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これにより陸軍は日清戦争において戦死者よりも多い脚気での死者が出る。次の日露戦争でも多大な脚気での死者を出す。

海軍に遅れる事30年経ってから陸軍はようやく間違いを訂正するが、この期間内で多くの兵士を脚気で失う。

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功績により男爵の称号を得、麦飯男爵と呼ばれる。残念ながら晩年は幸福ではなかったとの事。日本ではほととんど知られていなかった高木兼寛ですが、外国での評価は高く、南極大陸に高木岬という名を冠されます。

当時日本の食文化では馴染みの薄かったカレーを脚気の予防として海軍の食事に取り入れたそうでこれが海軍カレーとなったそうです(作品にはこの事についての記載はありません)。

こういう事を教科書で習うべきかな?と思うのですが、日本での評価(過小評価)と外国での評価に差がある日本人にこそ学ぶべき事があると思うばかりです。

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